宝塚徒然なるままに

観劇の感想やら何やら宝塚について書き綴ります

月組「舞音-MANON-」率直な感想

月組公演「舞音」についての感想を書き綴りました。初めて観劇の感想というものを書いてみました。

壮大なネタバレと「ん?」と引っ掛かった事も書いているので、まだ観劇してない方やストーリーに大満足だった方は読み進めない事オススメします。

 

舞台はすごく美しくて、スコールや水の音などベトナムの熱気がムワっと伝わってきそうな空気感。竹を使った装置やランタンの演出、水の精霊達も神秘的で、この繊細で美しい舞台は女性クリエーター達が集結したからこそ作り出せた物なんだろうなぁと思いました。

そして海軍服に身を包んだ月男達。軍服祭りじゃー!とその着こなしも様々でエリート達はビシッと、マルセルまゆぽんの乱れた着こなし。革命分子あーさ。悪いたまきち。悪いソフト帽マギーさん。はぁみんなイケメンすぎて辛い。そんな月男達にアオザイ黒髪のちゃぴ。美弥るりの床ドンからのゴロゴロとまさちゃぴのベッドシーン。ちゃぴの生腹。。。

もう書けばキリがないのですが、やはり月組は美の暴力団です、はい。舞台も出演者達も美しすぎて福眼でした。

しかしそんな福眼公演は所々「ん?」と気になる所があり、未消化の部分も出てきてしまって、舞台はとっても美しかったんだけどなんだかちょっとモヤモヤが残ってしまった。。。というのが観劇直後の正直な感想でした。

なんというか全体的にちょっと描写不足だったような気がするのです。

例えば一番気になるのが、舞音がいつからシャルルを愛し始めたのかがよく分からなかった。夜行列車の時はたぶん気まぐれで(パンフのちゃぴのコメントも「始めはシャルルの事など気にしてなかった舞音ですが」って書いてるし)じゃぁ、いつから?なんで?決め手は?という所をもうちょっと描いてほしかった。

シャルルに「あいつは高級娼婦」呼ばわりされた後、後を追って「私とても傷ついた」って言ってる時にはもう好きになってたのかな?何を思っていたのだろう?今までは容姿だけでチヤホヤされてきたけどシャルルは真っ直ぐに私を愛してくれた、「教えてよ愛を」って歌ってたし彼なら愛を知れると思ったのかな?それともこの時点ではただ単にもう体を売るのは嫌だし若いイケメンの方がいいや♪って思ってたりして。え、でもそうだったとしてもよく分からない。だってシャルルも他の男達と同様、舞音の中身よりは外見での一目惚れだったしとんでもない金持ちでもないし何より彼の愛、若干暴走気味だぞ。いきなりビンタしたし。

そう、ベッドシーンの後のビンタがちょっと唐突すぎて。舞音自身が「あなたとは一夜限りの遊びだったしパトロンが待ってるから」って言ってからのビンタなら分かるけどクリストフやクオンに「あいつはそういう女だ」って言われただけで着替えて出てきた何も言ってない舞音にいきなりビンタってアンタ!こらシャルル!これじゃただのすぐに手をあげるクズ男じゃないか。

その辺にシャルルの突然本能のままに暴走してしまう所が現れてるのかもしれないけど、もうちょっとひと悶着あってもよかったのではないかなーと思いました。

何より舞音の、自由奔放で男達の間を蝶のように飛び回るという小悪魔的な要素があまり感じられなかった。確かに可愛くて華があってそりゃ沢山の男にチヤホヤされますわなって感じなんだけど、この舞台上で実質飛び回ったのはまゆみさんパトロンとシャルルのみ。「次々と男達の間を飛び回っているんだ」っていう説明台詞だけじゃなく、もうちょっと舞音のせいで振り回されて不幸になった男達やそのエピソードを聞いてみたかった。なんならシニョールドンファンみたいに過去の男達を登場させるか。まぁそれは冗談だけども。

だから舞音、むしろ素直で良い子じゃないかって印象の方が強かったかな。金持ちまゆみさんパトロンとの生活よりもそんなシャルルと僻地で生活を選択した決め手が薄くて、結婚後も舞音が何か企んでるのでは、何かしでかすのではと思って観てたけど特に何も起こることはなく結果良い妻だった。

パーティを中止しろと言われれば怒る事なく我儘言わなかったしむしろメンヘラと化したシャルルの相手してあげてたし。歌まで歌ってあげてたし。

それに舞音と暮らすにはかなりのお金がかかるっていう設定もあまり伝わってこなかった。シャルルに宝石をねだったり他の軍人と浮気するような描写でもあればシャルルが違法な事に手を染めざるを得ない状況も異常な束縛も召使からの反感ももっと説得力が増す気がするのだけども。

そういうのがなかったから最後は宝石強奪も見逃してあげたのに恨みを買われ濡れ衣まで着せられてボロボロになって被弾して舞音めっちゃ可哀想、でも愛に目覚めて愛する人の腕の中で安らかに眠れてよかったねみたいな何か舞音をどう見たらいいのか分からない、小船の場面は良かったけど舞音をどう描きたかったのかよく分からない、そんな感想になってしまった。

あとパンフレットの舞音の名前、あれは絶対に本名を書かなければいけない決まりでもあるのかな?書くとしても最期の場面の所だけにしてほしかったかな。。観劇前に目を通してしまったので、シャルルが「君の本当の名前は?」の台詞に(リエンやで)、最期の「リエン...私の本当の名前よ」に(うん、知ってた)と感動しながらも微妙に心の中でツッコミを入れてしまい、シャルルが初めて舞音の名前を知る感動がちょっと薄れてしまった。。。

 

うーん、まぁ色々書いてしまいましたが舞台はとても美しかったし、まだ1回しか観てないのでこんな感想です。

2回3回と観るうちに見る所や考え方が絶対変わってくる作品だと思うので、また改めてじっくりと観たいなぁと思いました。